四月十八日 (月) 塚本邦雄に就いて | keiの歌日記

四月十八日 (月) 塚本邦雄に就いて

ある事で尋ねたく、”かばん”のH・Pへいったら改装中で、仕方なくうろうろしてたら穂村氏のコメントに行き当たった。見て驚いた。塚本邦雄氏が、抹殺されている!

月刊「角川短歌」の今月号?に、昨年の歌壇回顧欄に塚本氏が無視されている,といい、最新の塚本短歌を、各方面から引いてきて掲載してあった。衰えを知らぬ瑞々しい歌が並んでいる。

この大家を、こともあろうに無視するとは・・まさに抹殺である。穂村氏ならずとも憤慨せざるを得ない。

思えば昭和50年代、サンデー毎日の俳句選句欄「句句凛凛」に投稿し始め、暖かい励ましを何度も頂いた昔から、角川短歌の「公募短歌館」での選歌、お目に留めて頂いた光栄は未だに忘じがたいものがある。

余りにも偉大すぎて、「玲瓏」へのお誘いは固辞した記憶があるが、爾来、内心師事してきた私にとって、実に淋しい思いで胸が詰まる。

久し振りに”塚本短歌”(亜流)を作ってみた。公表するので乞うご批判。

 

 

今日の歌

(塚本邦雄氏に捧ぐ)

*われと言ふ虚構のなかでひとしきり駆け巡る鈍色の終電

 

*二の腕に多々在れば傷痛まずも春暮れて明日も春旦

 

*輸出用抒情歌 あれは過世紀にわが父祖たちのほんの手遊び(てすさび)

 

*寒心をひとつ抱へて卯月夜の月へ禊(みそぎ)に捧ぐ 一献

 

 

今日の歌

 

*同胞をいざないて居り 髪ながき乙女くさめすアレルギー疹

 

*デテイルはつねに描けず白壁に目鼻無きかの容貌(かお)またも出づ

 

*返す掌にうつる夕焼けたまきはるいのち鼓動を早めつつ 朱

 

*薄明はわれのみのものささやかにくちずさむかの遠き舟唄

 

*昔かの頬赤々と在りしかどまぼろしはいま何故にモノトーン

 

*ささやきが耳に至らずひとり食む林檎若かりし日の匂いす

 

*夕雲は揺らぎつ忘れ得ぬわれに白きししむら見せたがりたり