三月二十二日(火) 終日憂鬱な雨 | keiの歌日記

三月二十二日(火) 終日憂鬱な雨

   何をするのも厭な雨

  今日の歌

*眠れざる夜は在り不毛の夢に泣く午前三時の黄泉の国辺

*浴槽のそこよりあがる火のごとき瞋恚を堪えつつ身沈ます

*掌の上に屯ろする影 しろがねの月のしずくのごとき憂鬱

*中空に成せば不倫のカンパネラ雲あわ立てるその響き佳し

*ハープその縦糸三筋切られしに似たる記憶のあるかなしさよ

*天に星 地に花 吾になにや在る挽歌自愛のふかきどよめき

*選られたる一個のさだめ累卵の母とその死を共にせし後の

*闇に酔う心に立てば夜気ながれ星は処刑者の眼のごとく刺す

*水死せるかつての友の手に在りき「銀河鉄道」の片道切符

*虚無僧のわれかもしれぬ影を追い粛々と照る月の夜に立つ

*あおき血の逆立つ真昼 起立性低血圧にめくるめきつつ

*幽かなる吐息のごとき気だるさに恋う死ある身を安らぐも 春

*わがことの外にはあれど胸に痛し子恋い母恋いそれも又修羅

*含羞のごとき夕映え 丘の上に思いおなじくひとよ立ちませ

*月影の胸腔痛きまで刺すをうべないぬわれに不埒のあれば

*星ひとつ墜ちたり何処やたまきわる終の命のまた消ゆるらし