今日の歌   累卵の一個     二月十六日(木) | keiの歌日記

今日の歌   累卵の一個     二月十六日(木)

     今日の歌

 

 

              累卵の一個

 

 

     *わが靄のごとき脳漿に影ひとつ茫と泛びぬまぼろしか はた

 

     *ちちふさの乏しきを言ひ眸を伏せぬ過の日過の人確と愛しき

 

     *わが無惨 見るはいとはし春あさくしだる柳のそぞろ青む日

 

     *一脚の椅子壊れたり春の夜の重き空気に耐へずして いま

 

     *累卵の一個なりしをいまさらに知らしむなかれ春の黄ぶだう