keiの歌日記 -38ページ目

三月二十一日(月)京都へ行って来ました

     観劇評・京都南座


  二十日夜、所用の暇に南座で菊五郎一座の芝居を観劇。
 昨年四月、名古屋御園座で復活上演された 児雷也豪傑譚話 の通し狂言である。
 菊之助、松緑、亀治郎の若手三人を中心に、荒唐無稽な連続活劇、脇筋を含めて、合邦、忠臣蔵、先代萩等などのパロデイが仕組まれていて、観客を飽きさせない。
菊之助 久し振りの立役で、気分良く溌剌とと演じており、巫女でしっかり女役の美しさも見せるサービスぶり。伸び伸びとした快演であった。
亀治郎  猿之助一座で慣れた舞台で、オグリをはじめ、二、三のスーパー歌舞伎を髣髴とする場面も多く、気負わず肩の力の抜けた好演。
松緑 芯となる児雷也役に、ちょっと硬くなりすぎた嫌い。本来のいいところがあまり出ず、いたずらな大声と柄だけでやや期待はずれ、観客の拍手も心なしかお座なり。
拾い物は芝雀。 合邦の玉手御前そのままの舞台で、本人も玉手のつもりでの気合の篭った熱演が見事。
 合邦では義母が養子に懸想して実は、で切腹、生血を俊徳丸に飲ませて奇跡を起こすのだが、此処では、姉が実弟に恋をうち明け、生血を飲ませて開眼、本復させる筋立て、巳の年、巳の日、巳の刻と玉手とちょっと変えてあるのは
黙阿弥の趣向か。果たして何人気がついたか?
 もう一つの拾い物は、菊五郎と、と若手の松也、まるまる一幕を珍妙なケバケバしい親娘に扮して舞台狭しと怪演。客席はヤンヤの喝采、菊五郎も御気楽に、徹底的に三枚目に徹した役作りが大成功、彼の欠点でもある妙な固さがすっかり取れ、楽しんでトコトン三枚目をやっているのが好感がもてた。松也も180センチ近い長身を、菊五郎に合わせて、うまく「背を盗んで」いたのが見事であった。
 四時間の長舞台を退屈させないで見せてくれ、最後は黒御簾連中が舞台に上がって、一大合奏のジャズ的演奏で、大仕掛けの道具立てと相まって、老いも若きも大喜び。 とかく毛嫌いされがちな歌舞伎を、若者をも魅きつける菊五郎の演出は結構であった。
 菊之助の溌剌。亀治郎の快演(猿之助の重石が取れ)実に自由に演じていた。そして芝雀の本格的な合邦、玉手風のカブキ。
夫々に魅力的だった。 惜しむらくは松緑の一本調子の浮いた芝居が目に残り、かえすがえすもも残念だった。(ニンの役であるだけに)
 劇通のプロの劇評家はどう見るか知らないが、全くの素人的主観のままを記した。松緑ファンの人には謝ります。

三月十九日(土)お詫びとお知らせ

    
  留守にします


  所用があり、明日から二日間おやすみします



   今日の歌

*かたわらに立てばこの身を斬るごとく弥生乙女は風を薫らす

*ふたたびの逢いな思いそ晩春の空陰らしむ雲よ疾く去れ

*残照の空ゆ聞こゆるたましいの終焉いずちに在りや 晩鐘

*髪長きひとなりきその傍らに立ちきああ恥多き日なりき

*霧ごもる三里の距離を遠くしてわれの真夜噛むレモンは苦く

*おみな等がすずしき彩に春を着る街に顕たざり恋う影ははや

*春の陽の清しき略奪わがものにあらぬ花より香を奪いたり

*名も知らぬ鳥の来鳴けば春の午後庭はたちまちなりぬ異郷に

*背くことついに知りたり花びらの縁昂然と反れば散れ 薔薇

*その白き素足踏ましめ花の如く女(ひと)は在りたり在りたれば哀し

*肌ぐもる汗 核心に迫りゆく春夜ありそを疎むわれ在り

*酔眼に揺るる風景 かのおみなたちの媚笑とわれの鬱屈

*双眸のかがやきてありなんじわが掌を染めよその鹹き汗もて


では行ってきます。多分、お土産があります。

三月十八日(金)やっと春らしい陽気

  春爛漫 良い陽気だ


 相変わらず鬱な暗い歌の羅列でお許しあれ

今日の歌

*たけなわの春や真蒼の空ながら恋焚くごときあわき陽炎

*万たびの思いに心慣れしかば昨夜(きぞ)の夢など儚かるべし

*螺子一つ弛みたりしや頭葉にカラカラと鳴る別れの序曲

*遅咲きの花散るかたに汝が死肢は措けと遠鳴る春のいかづち

*美しき死を乞う愚かなる夢を遠く嘲るごとき星群れ

*鬱という檻うべないてわがものとすれば灯りも和む夜の部屋

*乾きたる雲よ空なる青に居て青に紛れぬ孤のたしかさは

*鬼百合の花芽は固し逢うための季節持たざる男に伐られ

*日経るごと細まりてゆく脈絡のきずなこの身を支うすべなく

*空の藍に浸すごとくに手を伸ぶる瞬時昂ぶるもののある春

*逢う瀬などあらねば日暮れ雨に立ちコートを負荷の如く被りぬ

三月十七日(木) 朝から大雨降り

   アミターバの続き

 友人からTelあり、あれじゃ判らん。単語の解説をしろ。と、強い要請があった。そこで、出来る限り調べてみた。判ったところから書いてみる。

エネルギー
 物体が力学的仕事をなし得る能力の意味。熱、光、電磁波や、さらに質量までもその一形態であることが明らかとなった。

エネルギー保存の不滅)の法則
 「外部から影響を受けない物理系(孤立系)に於いてはその内部で同様な物理的、或いは化学的変化が起こっても、全体としてのエネルギーは不変である、と言う法則。
 無からエネルギーを創造し得ないことを示す物理学の根本原理の一。

量子力学
 分子・原子・原子核・素粒子などの微視的物理系を支配する物理法則を中心とした理論体系。物理系の状態には、線形空間内のベクトルを対応させ、物理量にはその上の演算子を対応させるという抽象的構造を持つ。
 不確定性原理を基本とし、観測値の予言は一般的に確率的に与えられるが状態の時間的変化を記述するシュレデインガー方程式ハ因果的である。素粒子は相互転位を基本的特徴とする。

光子・フォトン
 静止質量ゼロ。スピンⅠの粒子、光、即ち電磁波は、場の量子論では光子の集合として扱われる。

ハドロン
 強い相互作用をする素粒子の総称.重粒子と中間子とに大別、自然に崩壊し最終的には光子、レプトン、陽子とその反粒子に転化。

レプトン
 強い相互作用をせず、スピンが1~2の素粒子の総称。電子、ミュー粒子、タウ粒子及びそれらに伴う三種類の中性微子がある。軽粒子。

素粒子の相互作用
 素粒子の相互転化をひきおこす原因となるものの総称。強い相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用、重力相互作用に分類。

リーマン幾何学
 非ユークリッド幾何学の一。球面上の幾何学を一般化したもの。任意の二直線が、必ず交わり、三角形の内角の和はニ直角より大きい。一般相対性理論。

特殊相対性理論
 質量とエネルギーの等価性が導かれる。


 以上のすべてが関わってくるのがアミターバの証明の正当性である、というのだが、私には何のことやらチンプンカンプン。
 どなたか解かるように説明願います。
 
 結論だけ信じておくのが妥当のようです。クタビレマシタ。


今日の歌

*身ひとつの軽さにあれば春風を従えつ飛ぶわれや黄蝶は

*夕暮れはほの明かりせり春風に踊る花びらたちの葬列

*わが四肢を染めし茜よ春日暮れかの窓へゆけゆきて帰るな

*闘いてかち取る若さ持たぬゆえ薔薇の剪らるる夜を憎み居り

*渇きゆくこころを知らず白薔薇の唐突に花ひらくを見居り

*夜空より春のかけらのごとく降る雨あたたかし心冷ゆ身に

三月十五日(火) 朝から鬱

   死、或いは死後


 透析が段々長くなってくると、どうしてもこんな単語が頭をよぎる時

があり、今日は朝から頭をそれ等がグルグル走り回って

いる。こんな時私は、アミターバ(玄侑宗久著:新潮社刊)に縋る。

 なにを隠そう私は医師である。透析に入る前までは、当然、

死ねば物理的に私自身は消滅してしまうものと

考えていた。

 たまたまテレビで瀬戸内寂聴師との対談を聞き、強く惹かれる

ものがあり本を求め、一読して驚いた。

玄侑師は禅宗の僧侶(ちゃんと修行を終えられた)である。

なのにE=MC2 とか、アインシュタインとか10の14乗ジュールとか、はては

粒子,光子まで物理学用語を多用して霊や死後の世界を語っているのだ。


引き込まれて一気に読んだ。そして私の大事なバイブルとなった。

 要は、臨終を境に、肉体の重量は約一ミリグラム減る。

アメリカの学者が実際多数の例で確実に証明し、例によっては何グラムも軽く

なったそうだ。

 そして「質量不変の法則」があるのも真理、従って、死後失われた

何グラムかの質量がエネルギーに変わって現実世界に残る。

(これが凄い)10の14乗ジュール、

23万8千㌧の水(普通の25メートルプールが五百二十九杯分)が一瞬にして沸騰す

る熱量に化けるとゆうのだから

驚く。(東大工学部・古澤博士の研究成果からの示唆)

 だから私が死ぬ瞬間になにかがそのエネルギーに変わるとすれば、

どんな事が起こっても不思議ではない。

 要は死後には何かの世界があることは間違いないらしい。

 その様にして使われずに残った莫大なエネルギーが集まった巨大な塊

が、所謂アミターバ、仏教用語の無量寿、つまり極楽世界かも知れ

ないという訳だ。


 詳しくは御一読あれ。理性的であるべき医師たる私の採るべき態度では

ないかも知れないが心が救われるのは確かで、身辺に措いて愛読している。



 
今日の歌

*血のめぐる音を耳奥に数えつつ思うひそかに 死に耐うること

*つぎつぎと過去完了の思い出を貼れば嵩ばるアルバム一冊

*倒されしわが背を踏みて木犀の枝を双手にゆくミロの像

*失えるものの重さに均衡の破れしこころが弾くハ短調

*真夜闇を斬りて救急車の悲鳴わがしがらみのものを連れ来る


 今日は此処まで

三月十四日((月) 今日はまた寒い!テレビ曰く一月中旬の陽気

透析センター落成。部屋は綺麗になったが、苦痛は変わらず

 特記事項無し

*杉の花風に満つれば痒感をひとしきり愉しまん鼻腔に

*少年の頚動脈にかの血ありかつてその父棄てし朱き血

*売らるるはわが死 赤銅色をしてショウウインドの中の倦怠

*目に見ゆるものみな悲し懺悔にも似たる春陽の中の飲食

*あらばやと願うその事 春雨の音も無くただ降れば近きか

*打ち下ろす拳の掴むはるかぜを厭いつつわが瞋恚は在りぬ

*夭折と呼ばるる美しき季すぎてわれの無惨に雨降りやまず

*「踊り食い」する口元のはにかみて女とうげに許せざるもの

*しずめるがごと一ひらの梅散りぬ春はあらしのうちに至るや


三月十三日(日) 寒い日曜日!

透析の病床にて


*またひとついのちの灯り消えゆきぬ人工透析室のざわめき

*わがたのむべきものひとつ冷ややかにししむらへ継ぐ無機質の管

*呆然とする他無きかわがために残る時間の果たしてや在り

*腎というかけがえのなき器二つ失いし身に冬風の染む

*たそがれはただ静かなり遠き闇の喧騒すでにわがものならず

*生くる身はかくも悲しき追憶を拾い集めて冬の夜に酔う

*さむざむと刃のごとく風奔り夜の透析室に身を縮め居り

*物言えぬまま逝きしとか昨日まで共に耐え居しひとすでに亡し

*身の量の一つを今日も持て余し横たわり居り夜の病室

*渇きゆくこころ潤すすべもなく水許されぬ業を病む身は


暗くなってしまいますネ。これくらいにしておきます。


  感想待ってます。お気軽に立ち寄って、コメント置いて行って下さ   い。

三月十二日「曇り、風強し)また寒い!




題詠マラソン走り切ったし、結社誌・同人誌へ

の原稿書いたし、差し当たりちょいと時間が出来た

今日はマラソンへの選歌に挑戦しよう。



今日の歌


*閉じ籠めしままのかたちを胸に措き眸瞑れば死す愛の一文字

*歯ににがき封印切りぬいずくんぞ知る遺書めきし 白き封筒

*うつし世の叫喚よそに古書店の棚満たしたり さまざまの恋

*むらさきのけむり破倫の夜に冴え肝はきしみを間遠に鳴らす

*黄芥子の舌にからまる激しさにまぎらわしつつ噛む悔やある

*ゆうぐれにあめしきりなり鬱うつと歌生るるまで空白に居る


 今日はこんなところで。

三月十一日 マラソン ゴールした!


    マラソン ゴール 万歳!

とうとうゴールインしてしまった。もっとゆっくり走るつもりが、

若いみんなに引っ張られるかたちで。

でも九着とは・・・。

花束もらい、ちょっと嬉しいかも。

五十嵐様 お世話さまでした。

それから、真っ先にお祝い頂いたkamomeさん。

最初からの応援、本当に感謝感激です。

応援してくださった皆様、心からお礼申します。


来年も是非参加したく思います。(いのちがあれば・・・)

何せ透析でやっと命を繋いでるみ身ですから。



 今日の歌

*ほろびゆくものを思わず老年の一夜はみだるる星に抱かしむ

*とこしえの思い贈らん[昴星」死は危うきまでに近ずきぬ

*思えらくついはあやめるこころとぞ卑夫一念に夜をさまよう

*野心無き吾のそびらにまがなしき雨ぞ降るいま絶てというごと

*ヴィオロンの悲鳴耳奥へツイゴイネルワイゼン贈る春の葬送

三月十日(木)


今日は頑張って行くぞ

今日はまず私事から、miwさん励ましのコメント大感謝です。

なんとか期待に添うよう頑張ります。

苦言甘言にかかわらず、お便り心からお待ちしてます。



*惻隠の心赦さぬ眸の見ゆれ君食むパエジアアラバレンシアノ

*加密列の夜に消えゆく香を聴きてイエスの裸形したたらす汗

*蒼天にさかれ 日輪はは持たぬみなし児は血の慧きバテレン

*さすらわば余剰すなわち人の世にあと幾許のわがかげやある

*わが友は無頼に逝けりかの日より迂く消えゆくための旅路へ

*いずれわが心数千の星に散りゆくごとくペルセウス失せし夜

*たそかれ と問えど還らずかの声よ慙愧はおのれに春の黄昏

*匿まわれ居し雲の辺に凭れつつ月はかたむくまでを燃えたり

*測そくと夕凪の陽にそのいのちきざむブレスレット型の時計

*密月はとおき火星よ譬うればキギス喰らいしことはばかれば


今日は透析つかれでこれくらいにして休みます。